凪野(なぎの)です!
世の中にはいろんな人がいますよね。何でもかんでも「僕には無理だ…」と考えがちな人もいれば、逆に何でもかんでも「まぁ、何とかなるでしょ~」と考える人もいます。
以前まで科学的には、良い成績を取るにあたって悲観主義は良くなくて、楽観主義が良いという風に考えられていました。
でもよく見てみると、悲観主義の人の中にも高い成績を維持している人たちがいたのです。
そのため、彼らは一体何なのかという研究が盛んになりました。
そして真の悲観主義(Reaisitic Pessimism, RP)とは別に、防衛的悲観主義(Defensive Pessimism, DP)の存在が明らかになってきました。
こうして防衛的悲観主義を楽観主義同様に肯定的なものととらえて研究が進められました。
また、DPの対概念として方略的楽観主義(Strategic Oprimism, SO)が定立されました。
これらを知っておくと、「無理にポジティブになろうとしたりする必要はないんだ!」と自信がつくと思います。
専門用語なども使わずできるだけわかりやすく書くのでリラックスして読んでもらえたら嬉しいです。それこそ「ほ~ん、そんな事実があったのかー」くらいの気持ちで全然いいです!笑
防衛的悲観主義(Defensive Pessimism, DP)
DPとは
DPは、以下のように定義されてます。※論文によっては異なる定義の仕方をしているものもあります。
②これから行うことに対しては期待感が低い。
例えば、過去に試験で良い成績を取っていることは自覚してるけど、将来のテストが同じように上手くいくとは思ってなくて、もしかしたら予想だにしない問題が出題されるんじゃないかとか、ちょうど読み飛ばしたところが出題されるんじゃないかとかあれこれ考えて準備をする人などです。僕はまさにこれです(笑)不安がモチベになって勉強頑張るみたいなタイプです。
ちなみに論文ではDPの典型例として「講演者」を挙げています。有名な講演者たちは話すのが上手ですよね。上手だからたくさん講演を行って成功してる。
でも、そういう過去の成功があるのに毎回恥ずかしい思いをすることになるんじゃないかとかと心配してるらしいです。
話す内容を書いておいたメモを忘れるんじゃないかとか、水をこぼしちゃうんじゃないかとか、マイクのコードに足がひっかかって盛大に転んじゃうんじゃないかとか、ありとあらゆる失敗を事細かに考えています。
でも、彼らはそういう最悪の事態に備えて準備することができます。コピーを2個作っておいたり、水を手の届かないところにおいておいたり、マイクのコードをテープで床に固定しておいたり、といった具合です。
別にこれによってトークが成功するわけではないですが、少なくとも不安を軽減することはできるわけです。
RPとの違い
真の悲観主義(過去も将来も低く捉える考え方)と異なり、DPの人は以下の4つの特徴があります。正直ここは読み飛ばしてもいいです。
1.過去の成功体験を否定しない。
2.成功場面での満足感が高い。
3.成功の原因を自分自身の成果として受け入れる。
4.失敗などを受け入れて自分の行動を修正することができる。
特徴
なぜ将来に低い期待をして失敗などをあれこれ考えてるのに高い成績を維持できているのかというと、彼らは不安を原動力にしてたくさん準備するからだと考えられてます。失敗が怖いから予めあらゆる失敗を想定して準備しておくわけです。
実際、課題の直前にあれこれ考えこむのを妨害されると成績が悪くなることが実験でわかっています。ダーツをする前に、あらゆる状況を想定させた場合とダーツのことはいったん忘れてリラックスさせた場合とを比べたところ、あらゆる状況を考えた時の方が成績が良かったんです!これはなんとも面白いですよね~。
方略的楽観主義(Strategic Optimism, SO)
SOとは
SOは、DPの対概念です。以下のような定義です。
②これから行うことに対しても期待感が高い。
特徴
DPの人が課題遂行直前にあれこれ考えた方が成績が良くなったのに対して、SOの人は、課題遂行直前には何も考えない方が遂行成績が良くなります。
逆にいえば、課題遂行直前に課題について考えてしまうと遂行成績が下がってしまいます。
DPとSOに共通すること
DPとSOとで分けて説明してきましたが、両者に共通してることがあります。それは、どちらも課題について入念に準備し努力している、という点です。
そう、要はどちらも勉強時間は十分にとっているんです。ここからわかることがあります。つまり、自分に合ったマインドの持ち方でモチベーションを維持することこそが重要ということです!
たまに自分の経験だけで「テストが始まる直前に単語帳とか確認しても不安になるだけだからやらない方がいい」みたいなことを言っている人がいますが、あれは彼らがSOであるだけで、DPの人には当てはまりません。
DPの人は自分らしく単語帳を確認した方がいいです!僕も高校時代単語テスト直前にめっちゃ単語帳見てましたが基本全部満点でした。
なのでDPの人にとっては直前まで粘ることに意味がないなんてことはありません。なのでDPの人は安心して粘りましょう!(笑)
注意すべきことなど
「DPの人・SOの人」とか言ったのでこれを性格みたいなものだと思ってしまうかもしれないんですが、DPやSOってのは人格的なことを言ってるわけではないことに注意したいです。
DPやSOは領域ごとで異なります。つまり、学業達成、対人、レクリエーション、運動競技、健康などそれぞれの領域で異なります。例えば、勉強(学業達成)ではDP、運動競技ではSO、みたいな感じで無意識のうちに使い分けているんです。
もう一つ注意したいのが、現状がRP(過去も将来も低く考える人)だったり、過去の成績がよくなかったりしたとしても、特に問題ないと思います。
どちらの場合であったとしても改善策はちゃんとあるので、心配しないでください。いずれ記事を書く予定です。RPの記事についてはすぐに書きます。
まとめ
防衛的悲観主義(DP)と方略的楽観主義(SO)について話してきましたが、行動面についてはどちらもやってることは変わらないんですよね。どっちも十分な勉強時間を取っているんです。ただ考え方が違うだけです。
つまり結局のところ、自分に合ったやり方を採用することが大事、ということですね! 例えば試験対策をするにあたって、
逆にSOの人は、難しいことは特に考えずひたすらやってみて、試験直前になったらもはや何も考えずに臨んだ方が成績が良くなる
といった具合です。自分に合った勉強ライフを送りましょう!
参考文献
- Norem, Julie K.; Cantor, Nancy; (1986). “Anticipatory and post hoc cushioning strategies: Optimism and defensive pessimism in “risky” situations.” Cognitive Therapy and Research 10(3): 347-362.
- Norem, Julie K. (2001). “Defensive pessimism, optimism, and pessimism.” In E. C. Chang (Ed. ), Optimism and Pessimism : Implications for theory, research, and practice. Washington, D. C.: American Psychological Association. pp. 77-100.
- 外山, 美樹. (2005). “認知的方略の違いがテスト対処方略と学業成績の関係に及ぼす影響 : 防衛的悲観主義と方略的楽観主義.” 教育心理学研究. 53(2).